下高井戸『磯』

 通りかかって「ピン!」と来たんですね、久々に。
「ここはいい店に違いない…」
 貼られてあった日替わりのメニューを見て直感。早速グルメ編集者のM氏と一緒にうかがってみた。

 ああ、やっぱりいいお店でした。

 基本的にお寿司屋さんなんです。店内は普通の寿司カウンターのつくり。
 日替わりのおつまみがたくさんあって、どれもちょっと食べたくなるようなものばかり。実際、居酒屋感覚で使って最後に寿司を、という使い方をされている方がほとんどだった。
 まず、私が「入ってみよう!」と思うぐらいなんで値段が安い。本当に手頃。寿司屋は書いてある値段で安心していると会計でびっくりなんてこともあるけれど、そんなことはありませんでした。

 板さんも感じの言い方で居心地も良く。何より地元のお客さんのくつろぎ方が、この店の愛され具合を如実に示していたと思う。若いカップルがつまみで酒をゆっくりやっていたり、六十代ぐらいの御婦人がおひとりで寿司を楽しんでいたり。
 いい店ならではの、「ああここに居れてしあわせ〜」というのどかなアトモスフィアがそこかしこから漂っている。

 そういう空気に交じれるのは、しあわせなことだ。

 だから、「そういうのはどうでもいい。ひたすら美食があればいい」という人には向かないかもね。私は「味わうべきは皿の上だけではない」という考え方です。ただ味勝負、みたいな料理人にもついていけないし(私はサービスは苦手、そういう思いは更の上ですべて表現する。直接のサービスは向くホールに任せる、という考え方はわかりますが)。

 閑話休題
 まず青魚の盛り合わせからいただきました。

 岩牡蠣にちょい火を通したもの。

 今年、初鱧。
 
 このほか、米茄子の揚げ煮なんかを頂いて、最後にお寿司。気軽に使えて寛げるお店を見つけて、嬉しかった。

 ああ、ごちそうさまでした。

 それから下高井戸といえばこの店、『おふろ』に移動してワイン。
 金曜の夜らしく混んでおりましたが、ちょうど入れてラッキーでした。そんな金曜の夜。