辻調塾へ

 辻調理師専門学校さんが月イチで開かれている食セミナー、辻調塾に参加してきました。2回目。毎回いろんな角度から食をテーマに開かれています。以前行ったときは呉美保監督を招いて「映画の中の食の風景」というテーマだったな。時には落語の食だったり、パンやスイーツがテーマだったり。都度、その方面のオーソリティが講師に招かれます。
 私は辻調さんが調理協力で参加された『オカンの嫁入り』という映画のプログラムを作ったんですが、そのご縁で呼んで頂けるようになりました。

オカンの嫁入り[DVD]

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 今回は味の素株式会社で海外との輸入出を長年担当されてきた須田満さんが講師に。「世界の食の現在 限られた食資源の有効な使い方」というテーマでした。
 トリビアメモになってしまいますが、印象的だったことを列記。
・牛肉の輸入国世界一はアメリ
・牛肉の「輸出国」世界一はインド!
・豚の輸入量の世界一は日本、トータルの1/4、続いて中国、香港、韓国
・豚肉の世界一の輸出国はブラジル、ついでカナダ、メキシコ
・鶏肉の輸入は中東で占められる。輸出はEU、ブラジル、中国がまかなう。
・農地というのは地球表面の3%に過ぎない。
・人間が使える水は地球の水分量の1%→水ビジネス
・飼料の生産量、トップは中国、米国、ブラジル、メキシコ、日本の順。日本は肉を多く作ってないのに飼料は多く作られている。
・中国は大豆生産を諦めている
・大豆を輸出するのはブラジルとアメリカ。この2国は砂漠、山地が少なく農地が多い。中国は広大でも砂漠も広大。
・大豆は日本でこそよく食用となるが、世界的にみると油を搾りその粕で飼料を作るために必要なもの
 と、いった基礎知識編をざっと1時間伺って、味の素が関わる「アミノ酸」のテーマへ。
「味の素」という会社名が示すように、もともとは「うま味調味料」を作った会社。現在は企業利益のほんの数%しか担ってないとのこと。面白かったのは最初に「なぜ湯豆腐はうまいのか」に着目して出来た商品だったそうなんですね。やがて大豆粕からうま味が抽出されるようになり、そこから油脂事業、医薬品事業(点滴に含まれるアミノ酸など)、スポーツ栄養食品事業(アミノバイタル)と会社の事業体系も広がっていったのだそう(オリンピックはビジネスチャンス、というのも興味深い話でした。あと点滴の色をみるとその患者さんの具合も分かるそうですw)。

 印象的だったのが、飼料ビジネスと味の素の関係。
 動物にも人間と同じように必須アミノ酸があるのですね。考えてみればそうだよなあ。それを動物ごとの必須アミノ酸を研究し、効果的に配合した飼料も作っているのだそうです。そういったものを海外にも売る。これは植物肥料にも同様のことがいえるそうで、アミノ酸を配合した肥料を使うと稲の根の張り方、レタスの結球の仕方が断然違う、というような写真も拝見しました。
 そんなビジネスがあって、食の土台がひとつ成立している。いろいろホント、勉強になりました。

 会場は新宿だったので一杯やって帰りたかったけれど、おとなしく帰宅。

 昼に煮ておいたフキとあぶらげのあっさり煮、ウドとワカメとキュウリの三杯酢和えをアテに。三杯酢和えは以前に六本木『菱沼』さんのレシピページを作ったときに教えて頂いたやり方です。
 ウドの香りはいいですね、か細いようでしっかりしてる。ひとことで言えない色のよう。