『ル・マンジュ・トゥー』谷昇シェフのセミナー

 市ヶ谷と牛込神楽坂の間にあるフレンチ『ル・マンジュ・トゥー』のオーナーシェフ、谷昇さんのセミナーを拝聴してきました。

 テーマは「フレンチシェフが作る洋食」。
 ハンバーグ、チキンライス、ミートソースの3品を、谷さんが作りながら解説して下さいます。

 うーん…偉大な「智」に触れるというのは昂揚しますね。そしてなんとも、清々しい気持ちになる。それは、いろーんなウロコが落ちていったからなんだろうな、目から心から。
 ちょっと長くなりますが、心に残ったことをメモ。

 それぞれの料理を作りながら、溢れんばかりに守るべきポイント、はずしてはいけないこと、そして何故そうするのかが明快に語られて、頭にスーッと入ってきます。質問も自由。

「鶏モモ肉。これは生きてる時こういう形をしています。つまりここが脛にあたる。だからスジが一番多い。なので直角にスジ切りをすると肉が縮みにくくなる。けれど余計にやってしまうと細胞核を壊しすぎる。これはドリップを出す原因になりますね」

 そんなこんながミッチリと語られつつ、料理が出来上がっていきます。「細胞核」ということを何度も谷さんは仰っていました。
 肉やの塩の仕方、みじん切りした玉ねぎの炒め方など、メモしたいことは山のようにありますが、ここでは1つだけ。

「人間がどうやって肉を食べてきたのか、僕は想像するんです。生肉の時代があった。それが焼くという技法が加わることになる。それは山火事などがあったのかもしれない。その焼けた肉を食べたのか。そして火事があったという事は煙が発生する。そうして偶然、肉をいぶすということを知ったのかもしれない。そして山火事があったときに、粘土質のものが焼けて、器のもとになるような発見があったのかもしれない。生、焼く、燻す、器に保存する…そういう過程を経ながら、食べもので死んでいく人が少なくなっていった…つまりどう食べたら、害がないのか、段々と知っていったのかもしれない…なんて想像するんです」

 うーん、テープ持っていけばよかったなあ。。36ページぐらいはゆうに作れるような素敵なお話がもうてんこ盛り…コーフンしました。
 ためになって面白い話というのは、なかなかありません。

「料理は誤差の集大成。そこをいかに縮められるか」

 その誤差を縮めるために、四苦八苦していると。ちなみに、谷さんは試作は一切されないそうです。

 試食も出来るこの講習会、ハンバーグのおいしかったこと。このソース、早速作ってみたい。

 アッシ・パルマンティエ。うーん…おいしくてもう、無言でいただきました。ジャガイモのピュレまでも作り方をうかがえて、幸せだった。

 早速作ってみよう!