『蕎楽亭』『眠庵』さんなどなど

 ありがたいことに、地震前から進めていたお蕎麦の取材が一軒の変更・キャンセルもなく完遂できた。
 うかがったお店いずれもさまがご無事だった。みな割れ物もほとんどなかった、というのには驚かされた。店のつくりと棚の置き方、これと揺れ方の関係なんだろうが、かなり割れ物がひどかったところも多いと聞く。揺れ方向と棚の口がシンクロしてしまうとそうなるのだろう。また地下の店はいずれも揺れに強いのだな、と再認識。

 15〜17日と表題のお店はじめ、広尾『たじま』さん、六本木『HONMURA AN』さん、経堂『しらかめ』さん、吉祥寺『中清』さんなどを取材でまわっていた。みなやはり一家のあるじは「大人(たいじん)」で、地震を経験されてもパッと日常に戻る、客をもてなすという精神にブレのない感じを目の当たりにして、何か仰ぎ見るような気持ちになった。
『HONMURA AN』のご主人はニューヨークでお蕎麦屋を営まれていた方で、9.11もあちらで経験されている。そのときに感じたことを今も活かしている、と語られたのが印象的だった。
 

 神楽坂『蕎楽亭』さんの一品料理より、「こづゆ」という福島の地元料理。ご主人の長谷川さんは福島の方なのだ。会津のご出身でご係累にとりあえずの難はなかった、ということだった。

 神田『眠庵』さんのお蕎麦。こちらのお店は大正の建築で、関東大震災も経験しているという年季もの。今回のことでもビクともしなかったという。