鹿浜『スタミナ苑』
といってもたいした思い出でもないんですが、昔々『やっぱり猫が好き』という番組があったんですね。若き日の三谷幸喜などが脚本を書いていた30分間のシチュエーション・コメディ。もたいまさこ、室井滋、小林聡美が三姉妹という設定の一話完結のドラマ。
これが深夜枠でやってたころ、冒頭いきなり室井滋演じる次女のレイコが焼肉を食べている、っていう回があったんですね。ずーっーと部屋にひとり七輪の炭火焼で黙々とホルモンを食らう室井滋。そんな変な、不思議な回がたーーーくさんあったんだこれが(そして本当に、毎回面白かった)。
当時私は中学生になったぐらいで、焼肉といえば「日曜のホットプレート焼肉」しか知らなかった頃。なんだかすごく、おいしそうで、ワクワクして。
深夜に一人、女が「コブクロ」なんて食べてるわけです。やさぐれて。今の歳になればその「狙い」も分かるけれど、子供の私には、ただうまそう、それしかない。もちろん「コブクロ」なるものがなんなのか全然知らなかった。あのバンドもまだまだ当然デビューしてないしね。母に訊けば母も知らないという。今までもっていた肉のイメージとは全然違うコブクロの形状が不思議で面白くて、そして猛烈に食べたくなった。
その日、母と私は二人で夜遅く帰ってきた父に頼んだ。
「お父さん、コブクロ食べに連れてって」
いきなりの揃いのお願いに父は面食らって、
「な、なーにを言い出すんだお前ら!」
と、変な声をあげたのを思い出す。父はその週末に、連れて行ってくれました。
いまでもホルモン屋にいくと、つい頼んでしまう。レイコは一部の人々の間での「コブクロの販促」に非常に貢献していると思う。
写真は名店、鹿浜『スタミナ苑』のもの。実にうまかった、ここのコブクロは。これはよく焼いたほうがドンドンうまくなるんですね。あの独得の歯ざわり、いーんだなあ。
- 出版社/メーカー: フジテレビジョン
- 発売日: 2002/07/03
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 53回
- この商品を含むブログ (25件) を見る