某店にて

 寿司である。アイである。ガリである。
 ここのお店はガリの仕上げにレモン果汁を加えていた。しかもかなりたっぷりと思われる。それがなによりも強烈で、寿司もなにもなく思い出がすべてレモンになってしまった。梶井基次郎檸檬の香りを嗅ぐたびに「カリフォルニヤ」の風景を思ったそうだが…そんな詩情もへったくれもない、きついきつい酸味のガリであった。無念である。