神戸市主催「食 スイーツを通じた神戸のまちづくり」


 2日続けてセミナーに参加、昨日は「食を通じた神戸市の地域づくり」というテーマでした。神戸市主催、キーワードはスイーツです。我がブログ史上最も長い投稿になりましたよ。(;´∀`)
 なのでダイジェスト版を最初に。写真は神戸西区前開南町の「アトレビアント」のマカロンです。栗味。ほかにサツマイモ、カボチャ、と地場の素材を使ったものが並びましたが…おいしかった! 近くの方は是非に。
 さて、本題へ!

 神戸とスイーツ。好きな方にはすぐピンと来るんでしょうね。
 ユーハイムモロゾフアンリ・シャルパンティエケーニヒスクローネ、アンテノール風月堂…東京のデパ地下でも「あ、あるよねーそれ」とお馴染みのお店がいっぱい。

 これ、全部神戸のお店なのですね、うわ、知りませんでした。まあきらぼしの如く。トップ三社は100億円を超える年商なんだそうです。神戸は洋菓子の企業数、売上、従業員数がすべて増加傾向に現在でもあり、産業として特化しているのだとか。神の戸は甘味に通ず…何がそこまで神戸民をケーキに走らせているのでしょう。

 そういう点を、マーケティング論が専門の甲南大学副学長の西村順二さんが解説くださいました。いきなりこんな感想もなん[面白かったなあ。研究対象に「興味深いなあ!」と感じられているのビンビン伝わってくるトークで、そこにまず引き込まれるんですね。「語りたいことがいっぱいある!」という人の話はいいもんだ。そこに「自分すごい」というのがちょっとでもあると聞いてる方はうんざりするもんですが、西村さんはそういうものが微塵もなく、聞いていてこっちの知的好奇心をビンビン刺激するような素敵なひとでした。

 閑話休題
国の家計調査によると、ケーキ消費量で神戸は直近の調査で全国2位だそう(1位は熊本、火の国に何が…)。他の洋生菓子消費では1位(2位は仙台)。全国平均で6千円ぐらいが、神戸は1万年間に使っているようです。

 その理由をいろいろトークセッションで語られていましたが、これが興味深かったなあ。港町・神戸には歴史的に様々な人が集まった結果、各国の料理(つまりケーキも含め)職人が居住してきたと(先生は「ある意味、山師的な人も多かった、と仰ったのが印象的でした」)。立地的条件から、お使い物、献上物としても利用された。そして何より、そういったものを個人的嗜好で楽しめる富裕層も多かった、そういう人々が根付き育っていった歴史がある、というわけなのですね。これは個人意見ですが、そういう層は因習にとらわれず新しい味にトライしたがる傾向もあると思います。自分好みに固執しない、というひとは案外少ないものですから。また現在も、自分用、イベント用、進物用と多角的に生菓子を使う人が多いのが消費理由とみられているようです。男性の利用の多さも指摘されていました。

 モロゾフさん、フロインドリープさんなど、神戸の外人墓地に葬られているのですね。彼らが暮らした頃の神戸、見てみたいなあ。「異人さん」が作ったケーキ、パンをあのころの日本人が普通に買って、食べていた。どんな毎日のメニューだったのだろう。話はまたそれますが、ちょっと昔の映画を作ったりすると、過剰に食卓が和食だったりしますが、あれは大嘘だと思う。日本人は昔から新しいもの好きで、パンやケーキやなんなりをちょこちょこ取り入れていたようですね。自転車でパンを売りに来るガイジンさんなんて結構あったようですし。

 どんどん長くなる…このあと、洋菓子と町おこしの取り組み方が紹介されて、これも面白かった。最初に、「東灘区連合婦人会」という団体と地域の女子学生が一緒にスイーツマップ作られたそうなんですね。これが好評で、どんどん輪が広がり、商店街やバス会社もリンクして、「スイーツめぐり」イベントに至ったと。バスが特別周遊して、様々なケーキ店をまわるわけです。そこに、特別イベントでモロゾフがチョコ作り体験会したり、ケーキのあとは紅茶工場訪れたり、さらにそこに地元で元来やっているイベントもくっつけたり…その連携には驚かされました。商店街って結構保守的なとこが多くて、何かリンクさせたくても大変なことが多いのですが、よくこんなに大規模にできたなあ、と感心させられることしきり。

 この後もご専門のマーケティング論におけるユーザーと売る側の関係性の今、そして「人間の幸福度の適正規模」といった興味の尽きない話がばんばんと。この2点が私は最も興味深かったですが、それはもう長いのでここではカット。


 神戸市西区の「アトレビアント」、こちらのパティシエである中尾誠一さんも来京、お手製のマカロンを頂きました。うまかったなあ。。。こちらのお店は畑も近いような場所なんだそうです。そこで取れる野菜を使ったマカロン芋味、栗味、カボチャ味。日本とフランスの融合。そしてモロゾフ特製のザッハトルテ(写真右)、『モンプリュ』というお店のゴルゴンゾーラチーズケーキが供されましたが、これもまたどちらも素晴らしかった。そして元町の『はた珈琲店』が出張のコーヒー、これがねえ…おいしかったですよ! 私はコーヒー苦手なんですが、おいしさを再確認しました。贅沢なお勉強をさせて頂きました。ありがとうございました。