新宿・花園神社にて

 昨日の下ざらいの後、なんだか真っ直ぐ帰る気になれなかった。
 独酌気分にも珍しくなれなかったので、友人・トネガワに電話。新宿三丁目で飲んでるというので合流させてもらう。奴の奥さんと美容師のヤノ夫婦も一緒。混ぜていただき、ありがたい。
 『バーンリムパー』でタイ料理をあれこれ食べたのち、酉の市の前夜祭へ。射的なんかをやって、屋台でハマグリを食べた。安くて愛想のいい店員さんのいる出店に一発で巡りあえたのはラッキーだったな。席料のあるとことないとこがあるのだ。あんな簡易屋台で席料もクソもないだろうと毎年思うんだが。

 にぎやかであやしげな花園神社の酉の市。大学時代から何度も来ている。その頃はもっともっとあやしかった。「ザッツ・新宿」「これぞ歌舞伎町」な方々がぞろぞろ屋台で飲んでて、これぞアンダーグラウンドというか…ガキの私は眺めてるだけで面白かった。70年代はもっともっと凄かったんだろうな、と思いつつ。

 その頃よく一緒に遊んでくれてた先輩のお父さんが先日亡くなられた。先輩は今年は酉の市で飲めないだろうな。

 並ぶ提灯や熊手のきれいな光景は少しも変わらないが、歳ばかりが重なって、人が少しずついなくなっていく。こういうことにも段々図太く鈍感になってしまうのだろうか。

 炭で焼かれたあたたかいハマグリ。
 はまぐり、ハマグリ、蛤のその貝あわせ。親や友人といった「人のあわせ」を、もう少し大事にしてゆきたい。

 祭りの意味も自分の心のなかでまた少しずつ変わっていく。