南青山『馳走 喜多おか』

 昨日の爽風晴天から、うって変わって曇天小雨の四月七日。


 南青山でヤボ用を済ませ(このヤボ用って言葉、なーんか好きなんだわ)、フラフラ歩いてたらちょっと良さそうな店があったので入ってみた。

 カウンターにひとり座る。入り口からカウンターまでたっぷりと幅が取られて、広々として気持ちがいい。

 関西言葉の板前さんと、若い板前さんがキビキビ働かれている。奥の座敷で何組か会食されているんだろう。

 このご主人らしき方、60歳ぐらいだろうか。藤間紋寿郎を小柄にしたような方。愛想はいいのだけれど、それでいてきちんと初客に対する「線」を感じさせるような、西の独得の感じを言葉に感じる。なんだか旅気分。こういうの、きらいじゃない。

 蕎麦点心、という平日お昼だけのコースを頼んでみた。

 活蛸。サッと湯引きしてある。こういうスターターも中々に食欲がそそられる。添えてあるのは山葵の葉。口がさっぱりしますねー。

 組肴は春爛漫。うどのきんぴらにフキの梅酢和え、貝ぬたに鰆のロールキャベツ風。よっぽど日本酒を頼もうかと思ったけど、このあと打ち合わせなので断念。

 初鰹にタイの昆布じめの軍艦とカッパ巻き。

 空也蒸し。この出汁あんが非常においしかった。

 二八蕎麦。非常にうまい。白魚のかき揚げがついている。

 ここまで大変結構だったのだけれど、このデザートにびっくらこいた。ゼラチンをバブル状にしてフラッペのシロップみたいなので色づけしたようなデザート。人工的な味この上なく、見た目を面白がろう、という意趣なんでしょうが……うーん、画竜点睛を欠くというかなんというか。残念だった。あと、昼休み中の食事と思われたのか料理を出されるのが非常に早い。ゆっくり楽しみたい人はその旨先に伝えたほうがいいだろう。

 と、なんだかんだいってますが。


 この内容で、2,100円なんですよ。すごい満足感。ご馳走様でした。