自家製の辛子レンコン


 山鹿の割烹『よこて』。いいお店だったなあ。

 だいぶ酒も進んできてご機嫌になってきた私とデザイナーのI氏。店員さんに軽口なんかも叩く様になってきて、「うまいなあ」「おいしいですねえ」なーんてご主人とも話すようになっって来た。
 すごく慎ましやかというか、控えめなお人柄なんですね。ここのご主人。50代前半ぐらいだろうか。失礼な言い方だが……「まさに田舎の小料理屋にいてほしいイメージそのまんま」、という感じ。朴訥で、温和で、腕がいい。
 そんなご主人が、すすめてくれた一品。
「自家製の辛子レンコン、食べてってみませんか」

 即答でイエス


 ふえぇ……こーーーーいうものだったんですね。辛子レンコンの味って。
 東京の物産展なんかで売っているものの味しか知らなかった僕は、ビックリした。中に詰まっている辛子が実にまろやかで、レンコンの持つ野菜の甘味と実にいいバランス。そして周りの黄色はクチナシの実で色づけするんだそう。クセになる味で、「おやつ」にも良さそうだ。

 ここ、店員さんもみな控えめで、黙ってニコニコしているような人々ばかり。居心地いいんだよねえ。アルバイトなのか高校生みたいなおにーちゃんの店員さんも、実にスレてない。まー清々しい。
「パーマなんかかけちゃって、お兄さん高校生?」
 もうすっかり出来上がった我々が酒のつまみに絡むと
「いやいや、22歳です。高校生だったら……パーマかけられません!」
 もうこの発言に我々やられました。なんとまあ。