渋谷・東「ビソリ」

　あてどなく街を歩く。
　そのうちに、よさそうな「面構え」の店と出くわすことがある。うまいもの出しそうな気配がある。知らないものが、そこにありそうな雰囲気を、感じ取ることがある。
　こんなハプニングが、好きだ。それを求めて、知らぬ道ばかりを選んでは歩く。
　今日も一軒、出くわした。

　渋谷区東、恵比寿と渋谷の間ぐらい。山手線の高架下から一本裏に入ったところにあるお店、「ビソリ」。なんとなく、気になる。呼ばれている気がする。韓国料理らしい。

　入ってみた。

　中庭があって、テントになっている。この日は陽差しが強くて蒸し暑い日だったが、それが嘘のように涼やかで、静かで。
　冷麺を頼んでみた。

　スープに木陰が映る。大根の漬物が薄切りで付け合せにされているが、この軽い発酵臭がなんとも食欲を掻き立てる。
「これが冷麺には一番あうです」
　貫地谷しほり似のおねえさんが教えてくれた。スタッフの方はみな韓国人のよう。キッチンでは「ザッツ・オモニ」という感じの方々がまめまめしく動かれている。冷麺をすする音とコリアンの会話だけが店内に響く。
　うーん、トリップ感あるなあ！　

　ジョン（チヂミのこと。北部ではジョン、南部ではチジミと呼ばれることが多いそう）専門店なのだそうだ。今度は夜にたずねてみよう。