開高健『最後の晩餐』

最後の晩餐 (光文社文庫)

最後の晩餐 (光文社文庫)


 明けましておめでとうございます。

 おめでとう、とはいっても、風邪のぶり返しからはじまる2010年でした。
 明日は歌舞伎座初芝居をひかえているので、なんとか今日中に持ち直さねば。適当なありもので三食をやりすごす。たまたまこの日読んだのが、食に関する本だったので、ここに記録。
 開高健『最後の晩餐』。

 単なる美食本でないのはもちろんのこと。芭蕉が詠んだ食べものから思いを馳せる江戸の昔の食、「日本の作家たちの食欲」と題された章では佐藤春夫の秋刀魚、そして高村光太郎のすき焼きを検証、そして19世紀ヨーロッパ王侯貴族のメニュー、それも1日がかりの食事会を辻静雄の料理で再現し食らいに喰らいまくる……といった様々な趣向のコラム。
 知らない言葉・習慣・故事・人名がワンサカ出てきて、自分のムチモウマイを改めて実感する、という……なかなかに有意義な元日となりました。
幸田露伴の研究によれば釣師の鼻祖であるはずの太公望が文王に出会ってキッシンジャーとなるまでには……」
 こんな表現がドンドコ出てくるのこの本。あはははは。講談では有名らしいが、「珍魚落雁、閉月羞花」なんて初めて知りました。
 早く薬飲んで寝りゃいいのに、そんなことイチイチ調べるのがまた楽しい。


 今年もどうぞよろしくお願い致します。


 白央篤司