枇杷に関する自習タイム


 東京のあちこちで枇杷が生っている。
 この写真は神谷町で撮りました。城山ガーデン真裏あたり。お世辞にも、空気のいいところとはいえないだろう。西麻布でも、六本木でも、いたるところで枇杷がなる。祇園精舎の鐘の音……ってそれはビワが違う。
 なんと生命力の強い木だろうか。東京の空気と大地で、ここまでたわわに実るとは。
 調べてみたら、どこでも「丈夫」「生命力旺盛」ということがまず最初にうたわれている。「放っておいても、どんどん伸びるから狭い庭には薦めない」とまで。
 千年も前から日本に伝来し繁茂してきた枇杷バラ科というのにも驚く。昔の仏教典には「大薬王樹」と記され、葉と実の薬効は顕著であったそうな。私の言葉遣いまでなんか変わってきました。あの鑑真和尚が葉の療法を伝え、民衆に施したという言い伝えもあるんだそうです。枇杷さまさま。




 しかしこんなにあちこちでなっているというのに、果物店枇杷は高い。
 専門とする農家が少ないことが第一理由なんでしょうね。寒い地方では綺麗に育てるのに向かないよう。それと、鳥が好物でドンドン食べちゃうんだそうです。でもすっぽり覆うわけにもいかないし、生命力はあるから木はドンドン伸びるし。一年一度しかならず、ハウス栽培も最近は増えてきたようですが、育てるのがとても大変なよう。リンゴや柑橘類と違って、収穫後の実の熟成はしない果実なんだそうです。だから獲ったが最後、味は落ちるばかり。輸送手段が発達したからこそ、長崎の枇杷が頂けるわけか。
 一度、カラスが枇杷の実を木からもごうとしているのを見たことがあります。あの大きなくちばしで器用にもいでは、噛むようにタネをはじき出していた。歯もないというのに。