コンビニ・アラウンド・ザ・ワールド

 
 

 一軒のコンビニで、私たちは世界何カ国を周れるんでしょう。
 韓国の参鶏湯(サムゲタン)、インドカレーにタイカレー、それにベトナムのフォー。フランスのヴィシソワーズの向かいには、我らがSUSHIまで。

 もうこれなんて訳分かんない。横浜とフレンチとカレーとヌードルが四者会談。料理という名のカオス。



 お酒もすごい。韓国焼酎にワイン、ラムにジンにウォッカにウィスキーに……最近なんて本物のシャンパーニュやスペインのスパークリングワイン・カヴァ、さらにはシードルが置いてあるコンビニも珍しくないもんね。そのうちパック・マッコリなんかも置きだすんじゃないだろうか。
 


 これが「コンビニ」ってのが、すごい。大手スーパーとかじゃないんですよ。手近に、世界のあれこれが、買えてしまう。しかもレトルトになっている点が興味深いのだ。
 この換骨奪胎の早さ。その国の食文化自体が、たいして根付いているわけでも、身近になったわけでもないのに!


 突然自分の話ですが、先日グリーンカレーを作ったんですね。それで次の日の昼はトマトソース作ってパスタ茹でて。その夜はスペインバルで打ち合わせメシ。そして帰ってからなんか味噌汁飲みたくなって作って。次の日は中華の担々麺ランチ、夜はまた残りのタイカレー食べて……って、なんだかもう舌が味蕾がテイスト・フュージョン


 以前イタリア人と話したとき、「私はイタリアにいるときずーっとイタリアの料理を食べていた。マンマの料理。それが普通だと思ってたけど、日本に来ていろんな国の料理を食べたら、戻れなくなった。帰国して、毎日イタリアンだとつらくなってしまった」という話を聞いたことがある。彼はけっこう恨めしそうに語っていた。
 

 これからも、コンビニで旅する国は増え続けるのだろうか。