パブロフの味

　ちょっと前になりますが、仕事で大阪へ行って来ました。

　この街にくると、つい足が向いてしまうのが阪急・うめだ本店の「森半」。ちょっと時間があれば必ず、このグリーンティ（甘く冷たい抹茶）を飲みに必ず立ち寄ってしまいます。

　幼稚園の頃、兵庫県の武庫之荘というところに住んでいました。何かの折で大阪に来るたび、母がこれを買ってくれたんですね。流行っていたのかな。とっても甘いのに、ちょっとほろ苦いという感覚が鮮烈で、大好きだった。ひょっとしたら、母が「買ってくれた」んじゃなくて、僕が「買ってェ〜！」と、おがみ倒していたのかもしれない。

　四十代の若井こづえみたいな店員さんに、なぜか話しかけたくなった。
「今、一日どのくらい出るもんなんですか」
　さっきまでは、ニカーッと笑っていた顔をフッと緩めて、
「もう……ねえ、昔みたいにはたくさん出ませんよ」
　と、私に応えているのか、ひとりごとなのか、その半分ぐらいな感じの言葉が返ってきた。

　グリーンティを飲みに行くときは、ここを通るのもすごく楽しみだった。梅田駅の動く歩道。
「もう一度通っていい？」
　そう何度も聞いて、しまいに母がキレた。

　プラプラと、あまり時間に街を歩いて遭遇。大阪……標語も大阪弁なのか。当然……か？

　携帯のカメラにしては、よく撮れたかな。新幹線の車窓より。

　大阪、またね。