ぶどうぱんのうた

「ぱんたべよう ぱんたべよう おいしいぶどうの ぱんたべよう」


 ぶどうぱんを見ると必ず思い出す、この歌。
 ハ長調で、1と2と3の指だけで弾ける、簡単なメロディ。
 ミレド・ミレド・ドドレレミレド。エレクトーンを小さい頃習っていたのだけれど、はじめて弾けるようになった曲だ。ヤマハ音楽教室に通ったことがある人は、この曲をご存知かもしれない。



 私たちの世代はやたらと「習い事」に通わされていたように思う。そろばん、お習字、エレクトーンにピアノ、スズキメソードでバイオリン、なんて子もいた。それから体操にバレエ、お絵かき教室……毎日違う教室に通っていた子もいるぐらいだった。「情操教育」、なんて言葉を親たちが言い出した最初の世代なのかもしれない。


 ぶどうぱんを食べつつ、そんなことを考えた。


(中目黒「トラスパレンテ」のぶどうぱん。ここは安くておいしくて、なおかつすべて半巾売りもしてくれるので、一人暮らしに嬉しい店です)