笹かまぼこのこと ―白謙の蒲鉾―

「阿部とか鐘崎とか、大手の有名なメーカーはたくさんある。
でも、本当に旨いのは白謙ってメーカーなんだよ。
仙台ではね、ここの蒲鉾を盆暮れに贈ってくると、
『お、こいつは俺のところを本気で大事に思ってくれてるな』
って思われるほどなんだ」
 小さい頃過ごした仙台で、こんなことを聞いた。
この話が強烈に染み付いて、忘れられなかった。
「食べてみたい……」
昔から人一倍食い意地の張っていた私は、白謙の蒲鉾が食べたくて仕方なかった。
 仙台の石巻、というところにその会社はあるようだったけれど、
仙台駅から15分ぐらいの錦町ところに住んでいた私には、おいそれと買いにいける距離じゃない。
そして中々うちの盆暮れに白謙の包みは届かなかった。
うちのお父さんはあまり大事に思われていないのかな……。


「仙台の友達が贈ってくれたんだ。白謙の蒲鉾たくさん頂いたから、お裾分けするよ」
 先日、友人からの届いたメールの文面。ヒマだったこともあってすぐさま家を出た。
バスを待つ間に、冒頭の言葉を思い出していた。あれは誰が言ったんだろう。
親父の取引先か、それとも上司だったのか。いずれにしろ子供に変なこと教える人だ。
 白謙の蒲鉾は、長じて食べることが出来た。中学1年ぐらいだったろうか。
親父を大切に思ってくれる人がようやく現れたのかな。そんな生意気なことを考えたかもしれない。


 と、変なことをツラツラかいてますが、白謙の練り物はいいですよ。美味しいったらありゃしない。
小難しい例えはともかく、バクバク何個も食べてしまう。
きちんと作っているなあという深い、確かな白身魚の旨味がタップリ。
 一銭ももらってませんが、ご興味のある方は白謙のホームページを是非ご参照下さい。
http://www.shiraken.co.jp/shop/web/index.php
私はここの野菜揚げが好きで好きで。
 と、今HP見てみれば隔世の感を禁じ得ず。
 今はいろんなところで買えるんだなあ。昔は、本店でしか買えない幻の商品だったのに。


さて、今年一年本ブログを読んでくださいましてありがとうございました。
かなり更新が滞ってましたが、これからも「あとでのまとめ書き」を含め
週一での記録をつけていきたいと思います。
本家の昭和系日記ともども、来年もよろしくお願い致します。


白央篤司


○ちなみに


これが白謙の蒲鉾の主原料、キチジという魚です。