石垣島ラー油


 ああ……嬉しいなぁ! ひょんなことで「石垣島ラー油」にバッタリ出逢えた。私は不勉強にして全く知らなかったが、一部では相当有名なラー油だったよう。今夏、そのラー油の造り手さんが書かれた本が出版されたばかりで、それを読んで「うーん味わってみたい……」と舌がトグロを巻いていたとこだったのだ。
 
 冗談みたいだが、料理好きの友人・イシガキさんの晩餐に招かれたときのこと。
「そうだ、石垣島ラー油って知ってる? すごいうまいらしいよ」
と訊けば
「これのこと?」
 ひょうたんから駒、棚からぼた餅、イシガキ宅から石垣島ラー油! 
いやー確かに見事なラー油でした。以前から「辛味は旨味である」というのは持論なんだけど、よい唐辛子、そして正しく辛味を引き出された唐辛子の味というのは、角もなく、奥行きと広がりのあるものだ。ひと口舐めると、まろやかで柔らかい唐辛子の風味がフワーッと広がって、そしてジンワリと口が、体があったかくなる。

ペンギン夫婦がつくった石垣島ラー油のはなし

ペンギン夫婦がつくった石垣島ラー油のはなし

 これが先の本。島唐辛子、ウコン、島胡椒、ニンニク、白ゴマ、黒豆……全部写すなんてルール違反だから書きませんが、もっともっといろんな材料から作られている。それらの香りをすべて見事に引き出しつつ、ケンカしないように調和させる……その研鑽と熱意が、まずご馳走だ。
 この本、おいしそうなレシピがいろいろ載っているのも魅力。「ナスと練りゴマと石垣島ラー油のディップ」これ絶対うまい。石垣島でやってらっしゃるという食堂、うーん、行きたいなあ!



ちなみにこれは料理上手な実業家・イシガキさんのご馳走。リクエストしたアクアパッツァ、メチャクチャうまかったです。ありがとうございました。ラー油もありがとうございました。


○ラー油の愉しみ
いいですね、ラー油手作り。以前湯島の「阿吽」というお店を取材したときにも感じましたが、ラー油というのは実に奥深いものなんだなあ。ご主人手作りのラー油を頂いたが、実にまろやかで奥行きのある味わいだった。そしてラー油って辛味の強さはもとより、唐辛子以外にもショウガやらゴマやら、様々な香りをオリジナルに付けて楽しめるものなんですね。薬味的にちょろっと遣うものではなく、最終的に味を完成させる調味料として使うものなのだ。これから、こだわりラー油がドンドン商品化されてくるだろうなあ。俺も作ってみよう。