銀座「ラ・マリージェンヌ」にて


 料理、人、雰囲気。この3つが重なり合って、「うまい店」だと私は思っています。美味しいだけ、というのは野蛮にして下品なもの。そうまで思っています。なぜなら美味自慢、味至上主義というのは人間的傲慢を必ず内包しており、さらには店主のコンプレックスを示すものだから。わけへだてのないサービス、いや、正確に言えば、必ず「わけへだて」というものは料理店において存在しています。それを、皆無に感じさせるのがサービス業の腕。和やかにことを運び、全体の雰囲気が常に穏やかであること、これがいいお店のサービスじゃないかな、などとぼんやり「ラ・マリージェンヌ」にて考えました。
 銀座にあるワインバー、東武ホテルの裏当たりにある地下のお店。ここのオーナーソムリエ、イズミサワさんのサービスを観ていると、つまるところ店というのは人柄、ここに集約されるなあと、シミジミ感じます。味というものは人間的魅力より前にくるものではない。そう改めて思います。
何を言ってるんでしょうね私ひとりで。
 写真は「軽くポッシェした真ガキの海水ジュレ添え、青リンゴのムースと共に」長い名前ですが、シンプルに美味しい。カキというのは単体で味が完成されているので、何もしないほうが美味い。これは定説ですが、海水のジュレというのが良かった。私は生ガキを開けたときに流れる潮の味、あれがもったいないな、と常々思っていましたが、こーいうやり方を思いつくとは。青リンゴのムースも殆ど主張をしない品良い味付けで、カキに華を添えていました。今春よりシェフが変わられて、現在では「マノワール・ダスティン」で修行をされた方がやってらっしゃるよう。